写真家アーウィン・ウォンが撮る、岐阜和傘の「張り師」

職人が魂を込める瞬間を切り取る。 人気写真家 アーウィン・ウォン(Irwin Wong)氏が見た、
和傘の紙張り

前回の記事で、「日本の職人」を撮影している写真家、アーウィン・ウォンさんをご紹介し、 長良川鵜飼の「鵜匠」を職人として捉えた写真をお伝えしました。

香港出身・オーストラリア育ちのアーウィンさんがレンズを通して切り取った世界は、 計算された陰影が、とても日本的でありながら、どこか日本ではないような雰囲気を作りだし、 新鮮な発見を見る側に与えてくれます。

実は、アーウィンさんは、まだまだ岐阜で職人シリーズを撮影しています。

今回は「和傘の張り師」を撮影した作品をご紹介します。


和傘の「張り師」とは

和傘はとても複雑なつくりをしているので、一般的には10数人の専門職人が工程を分業して仕上げていきます。 竹から骨組みを作る「骨師」、骨組みに和紙を張る「張り師」、紙に油を引く「仕上げ師」など、 各職人の手を経て、1本の和傘ができあがるまでには数カ月がかかります。

今回、アーウィンさんが出会ったのは、岐阜市加納の和傘問屋「株式会社マルト藤沢商店」の張り師、田中富雄さんです。

上に行くほど狭くなる骨の隙間に、和紙がしわにならずにたたみこまれるようにするには、熟練の技術が必要です。均等に傘が閉じられ、また使い込むごとに紙が破れたり骨から剥がれたりしないよう、張り師は神経を集中させます。

アーウィンさんの写真からは緻密な作業に向きあう張り師の緊張感が伝わり、写真を見ている私たちも(聞こえるはずがないのに)思わず息をひそめて見守ってしまいます。



日本人なら「和傘」が何かは知っていても、和傘を作る光景は、いまや見たことのある人のほうが少ないのかもしれません。 でも、昭和30年代ごろまでの岐阜市では、職人の光景は日常の一部でした。 和傘ひとつひとつに魂を込め、良いものを作ろうとしている職人のかっこよさを伝えるのに、言葉は不要。アーウィンさんの写真からは職人の気質や威厳が存在感を放ちます。 

 

<写真家アーウィン・ウォン(Irwin Wong) 人物紹介> 香港生まれ、オーストラリア育ちで、現在は東京を拠点に活躍。 アエラ、フォーブス、ワシントンポストなど、世界20か国以上の雑誌で活躍する写真家。 俳優や建築家、あらゆる業界の大物を写真におさめています。 光を強く意識して人物を撮影することに定評のある彼が、ライフワークとして撮っているのが「日本の職人」シリーズ。 鵜匠を日本のアルチザン(職人)として撮影するため、岐阜を何度も訪れています。 型にはまらない独自の世界観と色彩感覚が魅力。口数は少ないが笑顔がチャーミング。

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岐阜長良川の湊町 築100年の町家に  岐阜和傘の販売  長良川の伝統工芸体験  職人の製作工房 が同居する体験型工房

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